ボクもそうなんですが、職人って、どんな業種でも何代目かの跡継ぎさんが多いように思います。
特に、かつてのような好景気の時代と違って、年季奉公して暖簾分けしてもらって取引先ももらって・・という方式が成立しにくいので、おのずと職人になれるのは職人の子供という流れになっているように思います。
そんな跡継ぎが多い職人ですが、同じ跡継ぎとして以前からとても気になるというか不思議に思っていることがあります。
それは「跡を継ぐ前の準備や心構えをしていない人が多い」ように見えること。
ここで全くピンと来なかった跡継ぎさん、非常にヤバいですよ。
跡を継ぐということは、基本的には経営基盤をそのまま受け継ぐので、親の隠居もしくは経営権の受け渡しを待っていれば良いと思う人も多いかと思うんですが、そこでただ漫然と受け継ぐだけでは、貴方が経営者になった後で色々苦しむことになる可能性が高いですよ。
だって、考えてもみてください、今ある取引先は、誰の信用で取引がなされているんですか?
お父さん、もしくはその先代とかが築いた信用ですよね?
その取引先各社は、貴方を信頼してますか? 親を通して貴方を見てるんじゃありませんか?
跡を継ぐということは、単に経営基盤を譲り受けるということではありません。
取りも直さず、貴方が一人の事業主になるということなんです。
今までの取引先は、親御さんとの信頼関係で取引が続いていました。
事業主が貴方になったからといって、その取引先が貴方との取引を同じように続けなければいけない義務はないんです。
もしかしたら、先代との義理だけで取引が続いていたのかもしれません(小さい企業同士の取引の場合、実際にそういうことは少なからずあります。ボクも多く見てきました)
もしそんな裏事情があった場合に、いきなり取引を切られるかもしれないし、もしかしたら先方が事業を畳むつもりかもしれません。そうなった時、貴方の会社は安泰ですか?
跡継ぎは、跡を継ぐ前に経営者としての下準備が必要
こんなことわざわざ言うほどのことでもない当たり前のことなんですが、ボクが今まで見てきた中では、職人さんはこの辺りの意識が非常に低いように思います。
具体的には、まずは既存の取引先との信頼関係の構築、そして、ボクはこれが一番重要だと思うんですが「自分の力で新しい取引先やお金の入ってくる窓口を作る」ということです。
ボクは、この辺りのことを意識して行動していたので、跡を継いだ時点では、仮に既存の取引先が無くなっても自力で開拓したものだけでも経営していける状態でした。
大事なのはいつも、当事者意識です。
職人販促アドバイザー 栗田裕史(くりたひろし)
心のシミも抜く染み抜き屋|栗田裕史.com
最新記事 by 心のシミも抜く染み抜き屋|栗田裕史.com (全て見る)
- 社交性は、天賦の才ではなく努力の賜物 - 2016年3月11日
- 跡継ぎこそ、先代とは違うルートを行くべき理由 - 2016年3月3日
- 技術力とは、勝ち負けではない - 2016年1月31日